トランプ大統領、半導体への関税発動を示唆【米国株市場とハイテク株への影響】

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半導体関税の可能性が米国株市場に緊張感を与える

ドナルド・トランプ米大統領が、早ければ今週中にも半導体への新たな関税を導入する可能性を示唆したことが、米国株市場、とくに半導体関連株に影響を与えています。
エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)などのハイテク銘柄は発言を受けて下落し、投資家の間では今後の米中・米台・米韓の貿易関係、ひいてはサプライチェーン全体への影響が懸念されています。


国内製造促進と産業保護を目的とした関税戦略

トランプ大統領は5日、米経済専門チャンネルCNBCの「スクワークボックス」に出演し、

「半導体とチップについて発表する。米国内で製造されることを望んでいる」
と発言。具体的な税率や対象範囲は明言しなかったものの、**「今後1週間ほど以内に発表」**するとしています。

半導体は、世界売上高が年間7,000億ドル規模とされる戦略的産業。現在、その多くは台湾のTSMCや韓国のサムスン電子で生産されており、米国製造の比率は限定的です。
米商務省は今年4月から半導体市場の調査を開始しており、今回の発言はその政策検討の延長線上にあります。

製薬業界にも高関税の可能性

今回の関税発言は半導体に限りません。トランプ大統領は同インタビューで、製薬業界にも段階的に高関税を課す意向を表明しました。
初期は小幅な関税から始め、1〜1年半で150%、最終的には250%まで引き上げるとし、国内生産の促進を目的としています。
さらに、薬価引き下げを拒む製薬大手には追加のペナルティーを科す可能性も示唆しました。


米国株市場への影響

今回の発言は、以下の理由で米国株市場に波及しています。

  1. 半導体株の下落
    エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、AMD(AMD)など主要半導体銘柄が火曜日に軒並み下落。
  2. 投資家心理の悪化
    関税によるコスト増やサプライチェーンの混乱が懸念され、ハイテク株全体に売り圧力。
  3. 製薬株の不透明感
    高関税発言を受け、製薬大手の株価も弱含みで推移。

TSMCの米国投資とトランプ発言

トランプ大統領は、台湾積体電路製造(TSMC)の米国アリゾナ州での大規模投資を称賛し、

「世界最大の企業が台湾からやって来て、3,000億ドルを投じて世界最大の半導体工場を建設する」
と述べました。

ただし、TSMCが公表している投資額は総額1,650億ドルであり、トランプ氏の発言額とは差があります。
同社は先端半導体工場やパッケージング施設、研究開発センターを数年かけて建設する計画です。


まとめ

今回のトランプ大統領の発言は、単なる政治的アピールにとどまらず、米国の産業政策と株式市場に直接影響を与える可能性があります。
半導体関税はハイテク産業全体の利益構造に変化をもたらし、製薬業界への高関税方針は医薬品価格や企業戦略に大きな影響を及ぼすでしょう。
投資家は今後1週間の政策発表に注視し、半導体および製薬株のボラティリティ上昇に備える必要があります。