トランプ大統領、中国への関税停止を90日間延長 米中貿易戦争に一時的安定も市場は下落

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米中関税休戦、11月まで延長へ

2025年8月11日、ドナルド・トランプ米大統領は、中国に対する関税停止措置を90日間延長し、11月10日まで継続する大統領令に署名しました。
これにより、世界二大経済大国の間で続く貿易摩擦はひとまず沈静化の方向へ向かいます。

当初、8月12日に予定されていた関税引き上げは先送りされ、5月に合意したレアアース磁石や一部技術の輸出規制緩和などを含む休戦合意がそのまま延長される形となりました。
トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「合意の他の要素はすべて従来通りであり、通商政策の変更はない」と明言。ホワイトハウスも同日、日付以外の変更はないと説明しました。

この延長措置の交渉窓口を務めたのは、スコット・ベッセント財務長官。ベッセント氏は以前から「中国との合意に向けた準備は整っている」と述べており、市場関係者の間では今回の関税停止はある程度織り込み済みと見られていました。

中国も同様に関税停止を発表

中国政府も同日、米国に対する関税停止措置を90日間延長する声明を発表しました。
両国の交渉担当者は先月、スウェーデンで休戦延長に関する暫定合意に達しており、今回の発表はその正式化です。

もし延長が行われなかった場合、米国の中国製品への関税は最低でも54%まで引き上げられる予定でした。このリスクが回避されたことは、サプライチェーンや製造業にとって一定の安心材料となります。

米国株式市場は反応薄 主要指数が下落

関税停止の発表にもかかわらず、米国株式市場は下落して終了しました。
2025年8月11日の取引では、ダウ工業株30種平均が200ポイント(0.5%)下落。セールスフォース(CRM)が3.3%安と大きく下落し、IBMとキャタピラーもそれぞれ2.5%、1.9%下落しました。

一方で、3M(MMM)は1.3%高、ユナイテッドヘルス(UNH)も約1%上昇し、ダウ構成銘柄内で上昇をけん引しました。

ナスダック総合指数は0.3%安、S&P500も同じく0.3%下落。金曜日に記録した過去最高値から下落する形となりました。
S&P500では、11セクター中8セクターが下落。特にエネルギーと不動産セクターが大きく売られた一方、生活必需品、一般消費財、ヘルスケアセクターは上昇しました。

半導体・ハイテク株の動き

今回の関税延長は直接的には半導体株の急騰要因とはなりませんでしたが、市場では米中貿易リスクの後退が一部安心感につながりました。

  • テスラ(TSLA) は株式市場に新規上場し注目を集めた一方、株価は落ち着いた推移。
  • エヌビディア(NVDA)アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) は、米国政府との半導体収益協定に関する報道を受けてまちまちの動き。
  • AMCエンターテインメント(AMC) は急騰し、逆に C3.ai(AI) は急落。

これらの値動きからは、関税停止のニュース単独では株価を押し上げるほどの買い圧力にはならなかったことがうかがえます。

投資家視点:関税延長は短期的安定材料

今回の90日延長は、投資家にとって短期的にはリスク後退の材料ですが、11月以降の見通しは依然として不透明です。

米中の関税問題は、半導体・自動車・エネルギーなど複数の産業に影響を与えてきました。特に半導体産業は、台湾セミコンダクター(TSMC)やサムスン電子など海外生産拠点の比率が高く、今後も米中関係の変化に敏感に反応する可能性があります。

今後の注目ポイント

  1. 11月の関税停止期限
    延長期間終了後に再び関税引き上げが行われるかどうか。
  2. 米中首脳会談や閣僚級交渉
    貿易協定の恒久化や追加延長の有無が焦点。
  3. 米国株のセクター間パフォーマンス
    関税延長による恩恵がどの業種に波及するか。
  4. 半導体関連の動向
    NVIDIAやAMDなどの米企業が中国市場でどう戦略を取るか。

まとめ

相変わらずにぎやかな大統領です。

  • トランプ大統領は中国への関税停止措置を90日間延長し、11月まで米中貿易戦争を一時休戦へ。
  • 米国株式市場は関税延長のニュースにも反応薄で、主要指数はそろって下落。
  • 投資家は短期的安定を歓迎しつつも、年末に向けた米中関係の不透明感に警戒。
  • 半導体や輸出関連株は今後も米中交渉の進展に左右される見通し。