トランプ政権、経営難のインテル支援を検討 米国株市場にも影響

スポンサーリンク

米国半導体業界において、かつて絶対的地位を誇ったインテル(Intel, INTC)が経営不振からの巻き返しを図っています。その中で、トランプ大統領が同社の国内製造拡大を支援するため、米政府による出資を検討していることが明らかになりました。この動きは、米国株市場や半導体セクター全体にも大きな注目を集めています。

米政府出資の可能性と背景

関係者によると、今回の協議はインテルがオハイオ州で計画している巨大半導体製造拠点の建設支援を目的としています。本来は世界最大級の半導体施設になるはずでしたが、経済環境や需給見通しの変化から計画は何度も延期されてきました。

この構想は、今週行われたトランプ大統領とインテルのリップブー・タンCEOの会談が契機になったとされています。米政府が株式取得の費用を負担する形が有力とみられていますが、規模や条件はまだ流動的です。

インテル株価反応と米国株市場への影響

ブルームバーグ報道を受け、インテル株は14日のニューヨーク市場で一時8.9%高を記録し、最終的に7.4%高の23.86ドルで取引を終了。時間外取引でも上昇基調を維持しました。
今年に入ってからインテル株は11%上昇していましたが、今回のニュースで投資家心理が大きく改善しました。

一方、米国株市場全体でも半導体銘柄が連れ高となり、特に製造能力拡大や国内回帰がテーマの企業に買いが集まりました。政府支援による半導体産業強化は、米国株市場の重要な材料となっています。

トランプ大統領とインテルCEOの緊張関係

興味深いのは、トランプ大統領とインテルCEOとの間に一時的な緊張があったことです。先週、トランプ氏は「CEOは利益相反を抱えており、直ちに辞任すべきだ」とソーシャルメディアに投稿。これを受け、インテル株は急落しました。
しかし、その後の会談で両者は協力姿勢を示し、今回の支援検討へとつながった格好です。

インテルの現状と課題

インテルはかつて世界最強の半導体メーカーとして名を馳せましたが、現在はAI分野や高性能チップ市場でAMDやNVIDIAに後れを取っています。特にAI向けGPUではNVIDIAが圧倒的シェアを握り、インテルは巻き返しが急務です。

株価面では、2000年ITバブル崩壊前の最高値を更新できておらず、過去5年間で株価は市場平均を大きく下回るパフォーマンスとなっています。2020年初頭からの下落率は約60%に達し、その間S&P500は2倍に上昇しました。

期・年度売上高(Revenue)EPS(GAAP)EPS(Non-GAAP)主なポイント
Q2 2025(6月末)約 $12.9B(前年比横ばい)−$0.67−$0.10売上は予想超えだが、約 $1.9B のリストラ費用で赤字。
Q4 2024(12月末)$14.3B(前年比 −7%)−$0.03$0.13PC需要減と競争激化が影響。
通年 2024$53.1B(前年比 −2%)−$4.38−$0.135年連続で株価が市場平均を下回る。
Q3 2025(予想)$12.6–13.6B−$0.24$0.00トランプ政権との協議で国内製造支援期待。

政府支援による国内半導体強化の狙い

トランプ政権は「米国製造業の復活」を掲げ、半導体産業の国内回帰を強力に推進しています。中国や台湾依存のリスクを低減するため、製造拠点の米国内整備は国家戦略上の重要課題です。

インテル支援は単なる企業救済ではなく、米国の半導体サプライチェーン強化、さらには雇用創出国家安全保障にも直結する政策といえます。

投資家にとっての注目ポイント

株価週足は次のような感じです。

2024年7月決算をミスして下落。その後横ばい推移。

米国株投資家にとって、今回のニュースは短期的な株価上昇要因であるだけでなく、中長期の業績回復シナリオを考える上でも重要です。注目すべき点は以下の通りです。

  1. 政府出資の規模と条件
    出資額や株式取得割合によって、株主価値への影響は大きく変わります。
  2. オハイオ州新工場の建設進捗
    実際の稼働時期が業績回復の鍵となります。
  3. AI分野での競争力強化
    NVIDIA・AMDへの対抗策としてどのような製品戦略を取るか。
  4. 米国株市場全体への波及効果
    半導体セクター全体の評価が見直される可能性があります。

まとめ

今回のインテル支援検討は、米国半導体産業の未来を左右する可能性を秘めています。トランプ大統領の政策意図と企業側の戦略が合致すれば、国内製造の拡大と技術革新が加速し、米国株市場にもポジティブな影響が広がるでしょう。

しかし、AI時代の競争は熾烈であり、単なる資金投入だけでは市場シェア回復は難しいのも事実です。インテルがこの支援を成長の糧とできるかどうか、今後の動向に注目。。。