アップル株はiPhone 17で再加速するか?米国株市場が注目する新製品発表と製造拠点シフト

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アップル株、移動平均線を突破──市場の期待が高まる背景

米国株市場でアップル(AAPL)株がじりじりと上昇しています。2025年8月8日、アップル株は3月以来初めて200日移動平均線を突破し、同週の初めには50日移動平均線も上抜けました。これは、ドナルド・トランプ大統領がアップルの米国内製造投資を評価し、「ほとんどの関税を免除する」と示唆したことが背景にあります。

一方で、8月18日の米市場では株価が0.3%下落し230.89ドルで取引を終えました。強弱入り混じる動きの中、アップル株は新製品発表に向けて注目を集めています。上の画像はアップルの日足。

懸念材料:Google検索契約とAI戦略の遅れ

アップル株に影を落とす懸念材料のひとつが、連邦裁判所の判決待ちです。グーグルがiPhoneのデフォルト検索エンジンとして採用されている契約は、アップルにとって巨額収益を生む存在。しかし、米司法省による独占禁止法訴訟の判決が8月末までに下される見込みで、この契約が打ち切られる可能性があります。

さらに、人工知能(AI)戦略の遅れも課題です。アップルはSiriの進化版である「Apple Intelligence」機能の提供を2026年以降に延期。市場では「AI時代において後れを取るのでは」との懸念も出ています。

一部のアナリストは「AndroidのAIスマートフォンや折りたたみ端末に顧客が流れる可能性がある」と指摘していますが、現状ではiPhoneユーザーの乗り換えが顕著に進んでいる証拠はなく、顧客基盤は堅調に維持されています。

次のカタリスト:iPhone 17シリーズの発表

投資家が次に注目するのは、iPhone 17の発表イベントです。市場では以下の日程が有力とされています。

  • 発表イベント:9月9日
  • 予約開始:9月12日
  • 発売日:9月19日

このイベントは米国株市場全体にも影響を与える可能性があります。例年、iPhoneの新製品発表はアップル株の株価モメンタムを強め、関連するサプライチェーン銘柄にも波及します。

インド製造シフト:サプライチェーンの地殻変動

アップルはiPhone 17シリーズ全4モデルをインドで製造する計画を進めています。これまでハイエンドモデルの製造は中国中心でしたが、今回初めて全機種を発売当初からインドから出荷する見通しです。

インドでの製造強化の背景

  • 中国依存からの脱却と関税リスク回避
  • タミルナド州ホスールのタタグループ工場、ベンガルール近郊のフォックスコン拠点が稼働開始
  • 今後2年間でインド生産の最大50%をタタが担う可能性

実際、2025年4月~7月の4カ月間でインドから輸出されたiPhoneは75億ドル(約1.1兆円)に達し、前年度年間の170億ドルを上回るペースで拡大しています。これはアップルにとってコスト削減と供給安定の両面でメリットが大きいといえるでしょう。

アナリスト評価と株価見通し

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は8月8日付のメモで「アップル株は買い推奨」とし、目標株価を260ドルに設定しました。Siri/AIの遅延を懸念する声はあるものの、iPhoneユーザーのロイヤルティと、インドを中心としたサプライチェーン強化が中長期的に収益基盤を支えるとの見方です。

市場が注目するポイント

  • iPhone 17の販売初速
  • Google検索契約に関する裁判所の判断
  • Apple Intelligenceの提供スケジュール
  • インド製造体制の拡大スピード

まとめ:アップル株は再上昇トレンドに乗れるか?

アップルはiPhone 17を中心とする秋の新製品発表を目前に控え、米国株市場で再び脚光を浴びています。

  • 株価は移動平均線を上抜け、強気シグナル点灯
  • Googleとの契約問題やAI遅延がリスク要因
  • 一方で、インド製造シフトとiPhone 17の発売がポジティブ要因

投資家にとってアップル株は「懸念と期待が交錯する局面」にあります。短期的にはイベントドリブンでの株価上昇が見込まれ、中長期ではサプライチェーン再編が収益基盤の安定化につながる可能性が高いと考えられます。

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