
ズームの最新決算と米国株市場での注目度
新型コロナ禍を契機に世界的に普及したビデオ会議ソリューションの代表格、ズーム・コミュニケーションズ(ティッカー:ZM)が2025年第2四半期決算を発表しました。法人需要が売上高を押し上げ、アナリスト予想を上回る結果となったことで、米国株市場でも再び注目を集めています。
発表によれば、7月期決算の調整後1株当たり利益(EPS)は1.53ドルと前年同期比で10%増加。売上高も12億1,700万ドルと前年比5%増を記録しました。これはウォール街の予想であるEPS 1.38ドル、売上高11億9,800万ドルをいずれも上回る好決算です。
法人部門の堅調な伸びが業績を支える
ズームの成長をけん引したのは法人向け事業(エンタープライズ部門)です。法人顧客からの収益は7億3,070万ドルと前年比7%増加し、アナリスト予想を1,230万ドル上回りました。
アナリストのアルジュン・バティア氏(ウィリアム・ブレア)はレポートで次のように評価しています。
「ズームはAI機能の導入促進、顧客離れの安定化、コンタクトセンターやワークヴィヴォなどの新製品を通じた需要喚起に成功しており、事業基盤を強化しつつある。」
この法人部門の底堅い成長が、ポスト・パンデミックで個人向け需要が落ち着く中でもズームの安定的な成長を支える構造となっています。
AI戦略と新規事業が株価評価のカギに
米国株市場におけるズームの評価は、AI戦略の進展に大きく依存しています。CEOのエリック・ユアン氏は決算発表のプレスリリースで、次のように述べました。
「第2四半期は全般的に好調な業績を達成し、過去11四半期で最高の前年比売上高成長率を記録しました。営業利益率も前年同期比で9ポイント改善しています。」
さらに、ユアン氏は通期見通しを上方修正し、売上高とフリーキャッシュフローを17億4,000万ドル〜17億8,000万ドルの範囲と見込んでいます。これは市場に対して成長持続への自信を示すものです。
一方で、10月期(第3四半期)の売上高ガイダンスは12億3,000万ドルと市場予想の12億1,100万ドルをわずかに上回る水準にとどまりました。成長の加速が限定的である点は、投資家の評価を分ける要素となりそうです。
中長期的な成長戦略と米国株市場への影響

2025年8月22日現在では短期的なダウントレンドをブレイクしそう。また50日平均線を安定的に超えれれば次は200日移動平均線を目指すところですね。
ズームは2026年度の売上高予想を3.5%増の48億3,000万ドルへ引き上げました。これは法人需要が引き続き堅調であることを示す一方で、米国株市場全体の成長テーマである「生成AI」「働き方の多様化」「クラウドサービスの拡大」といった潮流ともリンクしています。
米国株市場の投資家にとって重要なのは、ズームが「単なるビデオ会議ソフト」から脱却し、包括的なビジネス・コミュニケーション・プラットフォームとして進化できるかどうかです。コンタクトセンターやAI支援型のカスタマーサポート領域に注力する同社の動きは、中長期的なバリュエーションを押し上げる要因となる可能性があります。
まとめ:ズーム株は米国株市場で再評価の可能性
ズームはパンデミック特需の反動で成長が鈍化したと見られていましたが、今回の決算は「法人需要の底堅さ」と「AIを軸にした新たな成長戦略」が鮮明になった点でポジティブサプライズでした。
米国株市場全体のテーマであるAIとクラウド需要の拡大に沿った動きを見せていることから、短期的なボラティリティはあっても、中期的には投資妙味が高まる可能性があります。