
グーグルとメタが結んだ100億ドル規模のクラウド契約
米国株市場で注目を集めているのが、メタ・プラットフォームズ(META)とアルファベット(GOOGL)傘下のグーグルによる大規模なクラウド契約です。事情に詳しい関係者によれば、メタは今後6年間で少なくとも100億ドル(約1兆4900億円)を投じ、グーグルクラウドのサーバーやストレージを利用するとのことです。
今回の契約は、AI分野における激しい競争に対応するためのメタの積極投資の一環であり、同社にとって初めての大型クラウド契約となります。
AI競争の中でクラウド活用が加速
メタは「フェイスブック」や「インスタグラム」といったSNSを運営していますが、近年はAI技術の導入・強化に注力しています。特に生成AIや広告配信アルゴリズムの高度化は、同社の成長戦略の中核を占めています。
クラウドサービスを活用することで、膨大なAIワークロードの処理が可能となり、サービスの提供スピードや効率性を高められる点が大きな狙いです。報道によると、今回の契約でメタはAI関連のワークロードを中心にGoogle Cloudを利用する予定だとされています。
グーグルのクラウド戦略と市場ポジション
今回の契約で注目すべきは、グーグルのクラウド事業戦略です。クラウド市場では、依然としてアマゾンのAWSとマイクロソフトのAzureが圧倒的なシェアを持っています。グーグルクラウドは3位につけているものの、これまで大規模顧客獲得で後れを取ってきました。
その中で、メタという巨大テクノロジー企業を顧客に迎えたことは、グーグルにとって大きな前進となります。市場シェアの拡大と収益基盤の強化につながる可能性があり、今後の成長期待を高める材料となっています。
米国株市場での反応:株価の動き
このニュースを受けて、両社の株価は小幅ながらも上昇しました。

- グーグル株(GOOGL)
木曜日は0.2%上昇し199.75ドルで取引を終えた後、市場前取引で1.5%上昇しました。 - メタ株(META)
木曜日はAI人材の採用凍結報道を背景に1.15%下落し739.10ドルで取引を終了。しかし、金曜日早朝には0.2%上昇へと反転しました。
ただし、メタ株は今週に入って5.9%下落しており、依然として50日線と10週線を意識した調整局面にある点は注視が必要です。
投資家にとっての注目ポイント
今回の契約から読み取れる投資家への示唆は以下の通りです。
- メタのAI投資は継続的テーマ
AI分野への積極投資は中長期的な成長ドライバーとなる。特に広告最適化や生成AIの活用が収益性改善に寄与する可能性がある。 - グーグルクラウドの成長加速
AWS、Azureに次ぐ「3位」のポジションに甘んじていたが、大型顧客獲得で成長期待が再評価されやすい局面。 - 米国株市場での相対的評価
グーグルは安定的なクラウド事業の拡大が期待される一方、メタはAI投資と人材政策の両立が株価の方向性を左右する。
まとめ:グーグルとメタの提携が米国株に与える影響
今回の100億ドル規模のクラウド契約は、グーグルにとってはクラウド事業拡大の追い風となり、メタにとってはAI競争を勝ち抜くための基盤強化につながります。両社は競争と協業の両面で関わりながら、米国株市場における存在感を高めていくでしょう。
短期的には株価の反応は限定的ですが、中長期的にはクラウド事業の収益貢献やAIサービスの拡大が投資家心理を支える要因となるはずです。米国株投資家にとって、グーグルとメタの動向は引き続き注目すべきテーマとなります。