エヌビディア、第2四半期決算で市場予想を上回る
米半導体大手エヌビディア(NVIDIA、ティッカー:NVDA)は2025年8月27日、第2四半期(5〜7月期)決算を発表しました。結果は市場予想を上回る内容となり、AI需要の底堅さを改めて示しました。
- 売上高:467億4000万ドル(市場予想:460億5000万ドル)
- 調整後EPS(1株利益):1.05ドル(市場予想:1.01ドル)
- 前年同期比:売上高 +55%(300億4000万ドル → 467億4000万ドル)、EPS +54%(0.68ドル → 1.05ドル)
さらに同社は今期(第3四半期)の売上高を540億ドルと予測。市場予想の534.3億ドルを上回る強気なガイダンスを示しました。前年同期比では+54%の成長となり、AI半導体需要が依然として旺盛であることを裏付けています。
株価は時間外で下落、市場心理の難しさ
決算内容自体は予想を上回ったものの、発表後の時間外取引では株価が下落しました。市場予想を超える決算が出ても、株価が下落する理由は主に以下の点にあります。
- 株価に織り込み済み:エヌビディアはすでに大幅に上昇しており、決算の好結果が「サプライズ不足」と受け止められた。
- 供給制約への懸念:AIチップ「ブラックウェル」シリーズは需要が供給を大きく上回っており、納期の遅れや供給ボトルネックが懸念されている。
- 米中リスク:CEOジェンスン・フアン氏がトランプ政権との協議に言及し、中国市場展開の不透明感が株価の重しとなった。
しかし引け後は下落していましたが、寄り付き前には戻ってきましたね。強い!
ジェンスン・フアンCEOの発言:AI競争と供給制約
ジェンスン・フアンCEOは決算説明会で、AI需要の拡大に応えるための戦略を語りました。
- AIチップ「ブラックウェル」:性能強化を進め、中国市場投入の可能性を示唆。
- 供給不足:「すべて売り切れた」という噂が流れるほど、需要が供給を大きく上回る状況。
- 毎年のリリースサイクル:プロセッサの毎年更新により「ワット当たり性能」「ドル当たり性能」を改善。顧客に対しデータセンターの年次拡張を推奨。
特にAIデータセンター向け需要は急増しており、顧客が処理能力の限界に達している現状を強調しました。これは、エヌビディアがAI市場で「圧倒的なポジション」を維持している証拠とも言えます。
アナリスト評価:目標株価は一斉に引き上げ
決算発表後、少なくとも10社のアナリストがエヌビディアの目標株価を引き上げました。ブルームバーグのデータでは、平均目標株価は202.60ドル(従来比+3%)となり、株価上昇余地が約12%示唆されています。
特に、JPモルガンのハーラン・スール氏はAIチップ「ブラックウェル」の強化を評価し、目標株価を215ドル(+26%)に引き上げました。同氏は「エヌビディアの受注残は依然として供給を上回る」と指摘し、投資判断を「オーバーウエート」に据え置いています。
米国株市場全体への影響
エヌビディアの決算は、米国株市場にとってAI関連セクターの行方を占う試金石とされています。
- S&P500・ナスダックの牽引役:エヌビディアは時価総額で世界上位に位置し、その動向は米国株全体の指数に影響。
- AIバブル懸念とのせめぎ合い:好調な決算にもかかわらず株価が下落したことは、投資家心理に「過熱感」を意識させる材料。
- 米中関係リスク:トランプ政権との協議や中国市場アクセス問題が、エヌビディア株のみならず米国株市場全体のリスク要因となる可能性。
投資家が注目すべきポイント
エヌビディア決算を受け、米国株投資家が注目すべき点は以下の通りです。
- 短期的視点:株価は好決算でも下落することがある。期待値とのギャップが大きいため、調整局面に注意。
- 中期的視点:AI需要は今後も拡大基調。特にデータセンター向け需要は強く、エヌビディアの収益基盤を支える。
- 長期的視点:米中摩擦や半導体規制リスクが企業成長に影を落とす可能性。政治リスクを無視できない展開。
まとめ
今回の決算で改めて浮き彫りとなったのは、エヌビディアがAI時代の米国株市場を牽引する存在であることです。短期的な株価変動はあるものの、中長期的にはAI需要がエヌビディアの成長を支え続けるとみられます。
ただし、米国株投資家にとっては「供給制約」と「米中リスク」が大きな課題です。エヌビディアの決算は、米国株全体のセンチメントを左右する重要な指標であり、今後も注視していく必要があります。