トランプ大統領、デジタル資産トレジャリー設立を発表
米国の政治と金融市場に大きな影響を与える存在であるドナルド・トランプ大統領は、仮想通貨を軸とした新たな金融ビジネス拡大に乗り出しました。トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)は、Crypto.comとの提携により「トランプ・メディア・グループCROストラテジー」を設立すると発表。これにより、トランプ家は「仮想通貨帝国」を構築する第一歩を踏み出しました。
今回のプロジェクトは、エリック・トランプ氏が仮想通貨関連で訪日する直前に明らかにされ、米国株市場や暗号資産市場双方に波紋を広げています。
設立の枠組みと資金調達の規模
新たに設立されるCROストラテジーは、Crypto.comが開発したクロノス・エコシステムのネイティブトークン「CRO」を中心に運営されます。
- 総資金調達額:64億2000万ドル
- 保有資産の内訳:
- CROトークン:約10億ドル(時価総額の約19%)
- 現金:約2億ドル
- ワラント:約2億2000万ドル
- ヨークビル関連会社からのエクイティ・ライン:約50億ドル
この規模は、単なる投機的取り組みではなく、本格的なデジタル資産の「国家規模の戦略」に近いとも言えるでしょう。
株式市場での動き:ナスダック上場計画
特別買収会社(SPC)であるヨークビルは、後日ナスダック市場において銘柄コード「MCGA」で株式取引を開始予定です。さらに、社名を「トランプ・メディア・グループCROストラテジー」に変更し、資本市場での存在感を高める方針を示しています。
注目すべきは、設立当初の保有株式に1年間の強制ロックアップ期間を設け、その後も3年間にわたり制限付きリリースを設定した点です。これは短期的な投機を避け、長期的な安定性を重視した仕組みといえます。
仮想通貨とメディア戦略の融合
今回の提携のもう一つの柱は、トランプ・メディアが運営するTruth SocialやTruth+への報酬システム導入です。
- デジタルウォレットの基盤:Crypto.comを利用
- ユーティリティトークン:Cronos(CRO)を採用
- 資金の流れ:トランプ・メディアはCROを約1億500万ドル分取得、Crypto.comはトランプ・メディア株を5000万ドル分取得
このように「仮想通貨 × SNSプラットフォーム」の組み合わせによって、利用者に直接的な経済インセンティブを与える設計となっています。これは既存のソーシャルメディアにない特徴であり、米国株市場でも注目されています。
エリック・トランプ氏の訪日と国際戦略
プロジェクト発表と時を同じくして、エリック・トランプ氏は日本と香港を訪問する予定です。
- 8月28〜29日:香港「ビットコイン・アジア・カンファレンス」に出席
- 9月1日:日本のビットコイン・トレジャリー企業「メタプラネット」の株主総会に参加予定
これは、米国だけでなくアジア市場を取り込む狙いを示しており、米国株投資家にとっても国際的な事業拡大の視点を持つ重要な動きとなります。
トランプ大統領のビットコイン観
トランプ大統領は先週、ワイオミング州で開催されたブロックチェーンシンポジウムにおいて、自らを「ビットコイン・マキシ」と表現しました。これは、ビットコインの価値を強く信じるビットコイン・マキシマリストの立場を示す発言です。
さらに、トランプ大統領は以下の大胆な予測を行いました。
- 2025年末までにビットコインは17万5000ドルに到達
- 最終的には100万ドルを超える可能性がある
この発言は米国株市場の投資家心理にも影響を与え、暗号資産を巡る期待とリスクが改めて議論されています。
まとめ
今回のCROストラテジー設立は、単なる仮想通貨プロジェクトではなく、「トランプ大統領の金融帝国構想」の一部と見るべきでしょう。
米国株投資家にとっては、デジタル資産と米国株の融合がどのように進むのかを注視する必要があります。特に、MCGAの上場、CROトークンの市場インパクト、そしてビットコイン価格の動向は、2025年後半の相場に大きな影響を与える可能性があります。