
米国株の動き:先物はまちまちの展開
2025年9月2日の米国株市場は、ダウ平均株価先物が小幅下落する一方で、S&P500先物とナスダック指数先物は上昇しました。材料となったのは、引け後に発表されたグーグルへの反トラスト法判決です。この判断を受け、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)や、同社と提携するアップル(AAPL)の株価が上昇しました。
また、サイバーセキュリティ企業のゼットスケーラー(ZS)が好決算を発表し、株価が上昇したこともハイテク市場全体を支える要因となりました。
そもそも反トラスト法とは?
アメリカで「企業があまりに強くなりすぎて、他の会社やお客さんに不利なことをしないようにするための法律」です。
「トラスト」というのは昔、いくつもの会社が手を組んで 巨大な独占企業 をつくり、値段を自由に決めたり競争をなくしたりしたことからきています。
独占を防ぐ
→ 1社だけが市場を支配して、値段を高くしたり選択肢をなくしたりするのを止める。
公正な競争を守る
→ いろんな会社が自由に競争できるようにする。
消費者を守る
→ お客さんが高すぎる値段を払わされたり、質の悪い商品しか選べなくなるのを防ぐ。
有名な反トラスト法
- シャーマン法(1890年制定)
→ 反トラスト法の一番古い法律。独占や価格操作を禁止。 - クレイトン法(1914年制定)
→ 会社の合併や買収で競争がなくなるのを防ぐ。 - 連邦取引委員会法(1914年制定)
→ 「FTC(連邦取引委員会)」という役所を作り、法律を監視・取り締まる。
グーグルへの反トラスト法判決:独占禁止への是正措置
今回注目を集めたのは、アミット・メータ米連邦地裁判事によるグーグルへの反トラスト法判決です。判事は以下の救済措置を命じました。
- 独占的な検索契約の禁止
- 検索データの共有義務
これは、昨年メータ判事が「Googleは検索および検索広告市場を違法に独占している」と認定したことを受け、今年4月に行われた3週間の審理の結果です。
グーグル側は声明で「AIが検索産業を大きく変化させていることが認められた点は評価する」としつつ、独占認定については依然として異議を唱えました。また、判事が命じたデータ共有義務について懸念を示し、利用者のプライバシーや利便性への影響に言及しました。
厳罰は回避、株価は最高値を更新

今回の判決は、投資家が最も懸念していた「ChromeやAndroidの売却命令」などの厳しい措置を回避した点で、市場に安心感を与えました。さらに、GoogleがAppleに対して検索のデフォルト設定のために支払う契約も維持される可能性が残されており、両社の関係は継続する見通しです。
このニュースを受け、グーグル株は時間外取引で急騰し、過去最高値を更新しました。反トラスト法違反の救済措置が予想より軽かったことが、買い安心感につながったのです。
まとめ
- ダウ先物は下落も、S&P500先物とナスダック先物は上昇
- グーグルへの反トラスト法判決で、厳しい制裁は回避
- 株価は過去最高値を更新、アップル株も上昇
- ハイテク株全体の調整は続くが、市場心理は改善傾向
米国株市場は、グーグルに対する反トラスト法判決を受けて揺れ動く一方、成長期待が依然として根強いことが示されました。AIや検索市場を巡る規制は続きますが、テクノロジー株が米国株の牽引役であることに変わりはありません。今後は、控訴手続きの行方やデータ共有義務の影響が次の焦点となるでしょう。