
トランプ発言が再び市場を揺らす
2025年8月、ドナルド・トランプ米大統領が発表した新たな関税方針が、再び米国株市場を大きく揺らしています。今回のターゲットは、世界経済にとって極めて重要なセクターである「半導体」。トランプ大統領は、米国内に製造拠点を持たない企業に対して、最大100%の関税を課す方針を明言しました。この強硬姿勢により、テクノロジー関連銘柄やサプライチェーン企業の株価は大きく動きました。
アメリカ製造なら“免税”対象外となる企業とは?
トランプ大統領は記者団に対し、次のように述べました。
「チップや半導体に非常に高い関税を課すつもりだ。しかし、米国内で製造している、もしくは国内生産を約束している企業については課税の対象外となる。」
この発言を受けて、台湾セミコンダクター(TSMC)やApple(AAPL)、NVIDIA(NVDA)、AMD(AMD)といった、すでに米国内での製造拠点強化を進めている企業の株価は市場前取引で上昇しました。
- TSMC:+5%以上上昇
- Apple:+3%
- AMD:+2%
- NVIDIA:+1%以上
これらの企業は、アリゾナ州などで工場建設や研究拠点の拡充を行っており、“Made in USA”戦略が功を奏する形となりました。
苦境に立たされる企業も
しかし、すべての企業が恩恵を受けるわけではありません。インテル(INTC)の株価は5%以上下落しました。背景には、中国企業との関係が取り沙汰される中、トランプ大統領が同社CEOであるタン・リップブー・タン氏の辞任を求めたことが挙げられます。このような発言は、インテルに対する市場の信頼感を損なう結果となりました。
トランプの関税戦略と米国株への示唆
今回の関税方針は、国内製造業への回帰を促す政策の一環と見られています。トランプ氏は以前から、鉄鋼や自動車部品、アルミニウムなどに高関税を課してきた経緯があり、今回の半導体・製薬業界への関税導入はその延長線上にあります。
米商務省もすでに市場調査を進めており、今後の詳細発表に注目が集まります。
失業保険申請数とFRB政策への影響
同日、東部時間午前8時30分には、週間新規失業保険申請件数が発表されました。市場予想は、前週の21万8000件から22万件への増加でした。
この数値は比較的低水準にとどまっており、米労働市場の底堅さを示しています。これは、連邦準備制度理事会(FRB)が金利政策を据え置く根拠の一つとも言えるでしょう。トランプの関税強化とFRBの姿勢が米国株市場全体に複雑なシグナルを与えています。
今後の注目点
- トランプ氏が関税政策を正式に発表する「1週間以内」のタイミング
- 中国企業との関係を持つ企業への影響と株価の動向
- 半導体サプライチェーンの再編加速
- 米国株全体へのボラティリティ増大
まとめ
「トランプ」という名が再び米国株市場に大きな影響を与えています。今回の「関税」発言は、表面的には保護主義的ですが、製造拠点を米国内に移す企業にとっては好材料です。一方で、海外依存度の高い企業にとっては厳しい局面を迎える可能性があります。
投資家としては、米国内製造を推進する企業への選別投資を進めるとともに、トランプ政権の政策動向に敏感に反応する必要があるでしょう。今後も、雇用統計やFRBのスタンスと併せて、トランプ政権の経済政策が米国株市場にどう影響するかを注視していく必要があります。