
ダウ工業株30種平均が最高値を更新
米国株式市場は先週、投資家の注目を集める展開となりました。ダウ工業株30種平均は一時的に最高値を更新し、最終的には前日比35ポイント(0.1%)高で引けました。週間では 1.7%の上昇 と堅調な動きを見せています。特に医療保険大手ユナイテッドヘルス(UNH)が相場をけん引し、セールスフォース(CRM)やアムジェン(AMGN)も安定したパフォーマンスを示しました。
ダウは堅調さを維持しつつも上昇幅を縮めた形ですが、それでも市場全体の強さを象徴する展開であり、投資家心理の改善をうかがわせます。

↑ダウ直近一カ月の推移。
ナスダックとS&P500の動向
一方でハイテク株中心の ナスダック総合指数 は金曜日に0.4%下落しました。しかし週間ベースでは0.8%上昇し、過去5週間のうち4週間プラスを維持。さらに、50日移動平均線を5%以上上回るなど、テクニカル的にも強気を示しています。年初来では 12%の上昇 と依然として堅調です。
S&P500も同様に短期的には0.3%安で取引を終えましたが、週単位では0.9%の上昇。過去8週間のうち6週で上昇を記録し、2025年の上昇率は 9.7% に達しています。主要移動平均線を上回っており、依然として強気トレンドが続いていることが確認できます。
小型株と市場全体の流れ
ラッセル2000指数は小型株中心の動きを反映し、0.6%の下落を記録しました。しかし週間では 3%以上の上昇 と、中小型株にも資金が戻りつつある兆候があります。50日移動平均線が200日線を上回る「ゴールデンクロス」を形成しており、今後の上昇に期待が寄せられています。
この背景には、投資家がハイテクや大型株だけでなく幅広い銘柄に分散投資を進めている動きも見られます。ニューヨーク証券取引所とナスダック市場では値下がり銘柄が値上がりを上回ったものの、出来高の増減はまちまちで、市場全体のエネルギーは依然として強いといえます。
ウォーレン・バフェットが動かしたユナイテッドヘルス株
今週の米国株市場でもっとも注目を集めたのが、 ウォーレン・バフェット氏 率いるバークシャー・ハサウェイの投資行動です。届け出によれば、同社は2025年第2四半期に ユナイテッドヘルス株を500万株購入。これが相場の大きな支援材料となりました。

ユナイテッドヘルスは、業績見通しの下方修正や連邦当局による調査、経営トップの突然の交代など、厳しい状況が続いていました。しかしバフェット氏による投資が市場に安心感を与え、株価を押し上げる結果となったのです。
さらに、バークシャーは鉄鋼大手ニューコア(NUE)にも新規投資を行う一方で、主力のアップル(AAPL)の保有株を削減。市場では「バフェット氏がポートフォリオの再構築を進めている」との見方が広がっています。

ヘルスケア関連ETFの推移。今年は前半よかったですがこれから季節性が絡んで少し上昇するか。
米国株投資家が注目すべきポイント
今回の動きから、米国株投資家が意識すべきポイントは以下の3点です。
- 市場全体の底堅さ
ダウ、ナスダック、S&P500いずれも週ベースで上昇を維持しており、米国株市場の基盤は依然として強固です。 - バフェット銘柄の影響力
ウォーレン・バフェット氏の投資は依然として市場に大きな影響を与えており、ユナイテッドヘルス株の上昇が好例です。バフェット氏の投資先は市場全体のセンチメントに直結します。 - FRBの動向
ジェローム・パウエル議長が来週ジャクソンホールで講演予定。ここでの経済見通しや金利政策に関する発言が、米国株の短期的な方向性を大きく左右する可能性があります。
まとめ
米国株市場は堅調な上昇基調を維持しつつありますが、ウォーレン・バフェット氏の投資行動が投資家心理に与える影響の大きさは改めて示されました。市場が不安定な状況に直面した際でも、バフェット氏が選ぶ銘柄は「安心感の象徴」として機能しています。
2025年後半に向けては、FRBの政策、AIを含むテクノロジー株の動向、そしてバフェット氏の投資戦略が引き続き米国株のトレンドを左右すると考えられます。個人投資家にとっても、彼の投資行動をヒントに「どの分野が注目されているか」を見極めることが、成功への近道になるでしょう。