
パランティア株、6日続落からの反発
米国の人工知能(AI)関連株として注目を集めるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は、2025年8月22日(金)の米国株市場で反発しました。終値は1.6%高の158.74ドルとなり、前日の156.18ドルから上昇。これにより、6営業日続いた下落を止めました。

パランティア株は2025年に入ってから約111%の上昇を記録しており、依然として年初来パフォーマンスは強力です。しかし、8月12日に記録した史上最高値190ドルからは約16%の下落となっており、投資家の間では「AIブームのピークが過ぎたのではないか」との懸念も広がっています。
AIブームの終焉懸念とパランティアへの影響
AI関連株全般に対して、過熱感とその後の調整を指摘する声が増えています。
- OpenAI CEOの発言:「AIバブルは間もなく崩壊する可能性がある」と言及し、投資家心理を冷やす要因となった。
- MITの調査結果:大企業が導入したAIプロジェクトの多くが、期待した投資収益率(ROI)を得られていないと報告。
- 著名空売り投資家アンドリュー・レフト氏の見解:パランティア株の高値圏からのさらなる上昇は見込みにくいとコメント。
こうした材料が投資家の警戒心を高め、AI関連株のローテーション(資金の移動)が進んでいると見られています。
アナリスト評価:米国株市場全体の中でのパランティア
CFRAのアナリスト、ジャニス・クエック氏はレポートで「パランティア株の下落は市場全体の調整とローテーションの影響を受けやすい」と分析。特に情報技術セクターに属する同社株は、市場の資金の流れに大きく左右されやすい状況にあると指摘しています。
また、パランティア株が上昇を続けた背景には以下の要因があります。
- 米国政府との契約拡大:トランプ政権下での政府発注増への期待。
- 個人投資家の支持:生成AI(GAI)銘柄として高い注目を集めている。
- 商業収益の伸び悩み:商業部門の拡大は限定的であり、成長の軸足が依然として政府契約に偏っている。
米国株市場全体とパランティアの今後
パランティア株の調整は、市場全体のAI関連株に対する投資家の冷静な見直しを反映しています。2025年に入り米国株はインデックス全体で堅調に推移しているものの、AI銘柄に対しては「成長期待」と「過熱感」が入り混じる状況です。
投資家が注目すべきポイント
- 政府契約の拡大余地
パランティアの強みは米国政府や同盟国との長期契約にあり、景気変動の影響を受けにくい点は安心材料。 - 商業分野での成長性
AIソリューションを商用展開できるかが、株価の次の成長ドライバー。 - AI市場の再評価
OpenAIやMITの指摘通り「過熱」への懸念はあるが、長期的にはAI需要が拡大する見通し。調整局面はむしろ長期投資の好機となる可能性も。
まとめ
パランティアの株価は史上最高値から調整局面に入ったとはいえ、年初来で2倍以上に上昇している点からも、その強い投資家人気は揺らいでいません。
AIブームが一時的に冷え込む可能性はありますが、政府契約という安定基盤を持つパランティアは、米国株市場の中でも比較的下値の堅い銘柄といえます。
投資家にとって重要なのは、短期的なボラティリティに振り回されず、長期的なAI需要拡大とパランティアの商業分野成長に注目することです。
米国株全体が堅調な中、パランティアは「調整を経て次の成長を狙う銘柄」として再び脚光を浴びる可能性を秘めています。