2025年9月12日の米国株市場は全体的に下落基調となった一方で、ハイテク株を中心にナスダック総合指数が過去最高値を更新し、投資家心理を支えました。来週に控えるFOMC(連邦公開市場委員会)での政策金利決定と、米中貿易協議の行方が市場の注目材料となっています。

ナスダックは最高値、S&P500は小幅安

ハイテク株中心のナスダック総合指数は金曜日に0.4%上昇し、過去最高の終値を記録。週間ベースでは2%高、9月に入ってからは3.2%の上昇となり、年初来では14.7%高と堅調です。生成AIや半導体関連の強気な見通しが依然として追い風になっています。
一方、S&P500は0.1%の小幅下落。過去6週間で5週連続の上昇を記録していたものの、金曜日は一服感が出ました。とはいえ、短期移動平均や50日線を依然として上回っており、年初来で約12%の上昇を維持しています。

ダウ工業株30種平均は0.5%下落し、2週連続安。構成銘柄ではマイクロソフト(MSFT)とアップル(AAPL)が上昇した一方、メルク(MRK)とボーイング(BA)が軟調でした。特にボーイングは労働組合のストライキ継続と新型機777Xの認証遅延が嫌気され下落しています。
米中貿易協議前に緊張感高まる
土曜日に予定される米中貿易協議を前に、中国商務省は米国製半導体に関する2件の調査を発表しました。テキサス・インスツルメンツ(TXN)とアナログ・デバイセズ(ADI)のアナログチップに対する反ダンピング調査に加え、米国の輸出規制全般に関する調査も開始しています。
これは、米商務省が中国企業23社を貿易制限リストに追加した直後の動きであり、米中間の緊張が再び高まっています。特に、NVIDIA(NVDA)やAMD(AMD)のAIチップをめぐる輸出規制が焦点となっており、中国側が反発を強める構図です。
一方で、トランプ政権は例外的にNVIDIAのH20 AIチップ販売を承認しましたが、中国政府は国内企業に購入を控えるよう指示。米中の駆け引きは続いており、投資家は協議の進展次第で株式市場のボラティリティが高まる可能性を警戒しています。
FOMCを控えた市場心理とインフレ指標
FOMCは来週水曜日に閉幕予定で、市場では利下げの可能性が強く意識されています。先週発表された8月のCPI(消費者物価指数)は予想通りで、インフレの粘り強さは残るものの、過度な警戒は後退しました。
さらに、ミシガン大学消費者信頼感指数が55.4と予想(58)を下回り、景気の先行きに対する懸念も浮上。雇用市場の減速兆候と合わせ、FRBが景気下支えに動くとの期待が広がっています。
S&P500先物はCPI発表後も方向感を欠き、FOMC声明と米中貿易協議を見極めたい投資家の様子見姿勢が鮮明となっています。
今後の米国株の注目ポイント
- 米中貿易協議の行方
半導体を中心とした輸出規制が継続・強化されれば、テクノロジー株に逆風。逆に歩み寄りが見えれば短期的な安心感につながる可能性があります。 - FOMCでの政策判断
利下げの有無だけでなく、パウエル議長の会見での景気・インフレ認識が株価を左右する見込みです。 - 消費者信頼感と企業決算
消費の減速懸念が強まるなか、9月以降の企業決算が投資家心理を大きく左右する局面に入りそうです。
まとめ
米国株市場はFOMCと米中貿易協議という2つの重要イベントを前に高値圏で神経質な展開を続けています。ナスダックが最高値を更新する一方、S&P500やダウは方向感を欠き、投資家は慎重な姿勢を崩していません。
利下げはほぼほぼ確定方向なので大局的には上でしょうか。しかし、利上げが確認された後に一旦材料出尽くしで短期的に下がるリスクも・・・