
安全神話が揺らぐボーイング機、再び注目の的に
2025年7月26日、アメリカの主要航空会社「アメリカン航空」で火災トラブルが発生しました。使用機材は、ボーイング社の737MAX8型機。トラブルが発生したのは、デンバー発マイアミ行きのAA3023便で、離陸中に発火が確認され、緊急脱出が行われました。
幸いにも乗客173名と乗務員6名は全員無事でしたが、脱出時に数名が軽傷を負ったことも判明しており、米連邦航空局(FAA)はすでに調査に乗り出しています。
ボーイング機の再発する不具合は、航空業界だけでなく投資家にも重要な警戒サインであり、企業体質や国際的な通商戦略と密接に関係しています。
ボーイング社は世界最大級の航空機メーカーであり、特に737MAXシリーズと787ドリームライナーは主力機材として世界中の航空会社に採用されています。しかし過去数年間で、以下のような安全性への疑念を招くトラブルが相次いでいます。
- 737MAXシリーズの墜落事故とソフトウェア問題(2018~2019)
- 787ドリームライナーの電池加熱問題や構造上の不備
- 社内エンジニアによる製造工程の内部告発(2024年)
こうした背景がある中での火災発生は、再びボーイング社の管理体制への懸念を呼び起こすものです。
1. アメリカン航空 AA3023便で火災発生(2025年7月26日)
- 機種:ボーイング737MAX8
- 発生場所:デンバー国際空港(離陸中)
- 乗員乗客:179人(うち数名が軽傷)
- 対応:緊急脱出・FAAが調査開始
この火災の原因は現時点で明確には公表されていませんがFAAは早急な技術調査に着手しました。
2. ボーイング787ドリームライナーの墜落事故(2025年6月13日)
- 航空会社:エア・インディア
- 事故:乗客乗員242人を乗せた機体が墜落し、ドリームライナー初の全損事故に
- 注目点:機体設計・整備体制・パイロット訓練体制が再検証対象に
これにより、長年人気を維持していた787シリーズにも改めて疑念が向けられています。
3. 社内告発と製造プロセスの簡略化
2024年にはボーイング社内のエンジニア、サム・サレプール氏が「製造方法の省略や不正を容認していた」として内部告発。これに対し、ボーイングは「安全基準は順守している」と否定していますが、再発防止体制の不透明さが投資家の不安材料となっています。
トランプ政権とボーイングの密接な関係
■ 2025年5月、ボーイングに過去最多級の受注
ボーイング社は、2025年5月に303機の受注を記録。これはトランプ大統領の中東訪問時に交わされた、カタール航空による大型契約が主因とされています。
- 787ドリームライナー:120機(カタール航空)
- 777X:30機
- 737MAX:146機(うち119機は非公開顧客)
トランプ政権下では、ボーイング製航空機が外交交渉の“武器”としても機能しており、通商戦略と密接に関係する企業であることがわかります。
まとめ
インドの事故で株価はさほど動きませんでしたが、事故が続くことでどうなるのか。。。
- 安全問題と株価の連動性
- 過去の737MAX墜落時には、株価は短期的に下落したが、企業の受注力が底堅く回復傾向を見せた。
- トランプ政権との関係
- 外交・安全保障の交渉材料としてボーイング製品が活用されているため、政権の動きは受注動向に直結。
- 長期視点での耐久力
- 投資家としては、短期のトラブルではなく、構造改革と品質管理の改善度合いを中期的に見守る姿勢が重要?
2025年7月29日(火):決算発表(米国東部時間、マーケットオープン前)