9月は「最悪の月」のアノマリー
上記の画像はS&P500の月足で2019年からの9月に黄色で目印をしています。
多くのデータが示すように、9月は米国株で最もパフォーマンスが悪い月として知られています。以下はその一例です
- 1928〜2023年のS&P 500平均9月リターンは‐1.1%。平均リターンが最も低い月です。
- 1950年以降では、平均‐0.7%、そして近年(過去5年)では‐2.89%と、一層の下落傾向が見られます
- 過去30年・20年でも、9月の平均下落率は‐0.34%および‐0.6%と、依然として悪名高い月です。
しかしそれでも、すべての銘柄・セクターが逆行するわけではない点は重要です。
なぜ9月は弱いのか? アノマリーの背景
主な要因は以下のとおりです。
理由 | 内容 |
---|---|
ポートフォリオの調整&タックスロス売り | 夏季後に投資家がリバランスや損失確定のために売却を行う。 |
心理的要因(市場期待) | 「9月は下がる」との思い込みが売りにつながる。 |
機関投資家の夏休み明け | 秋需予測やポジション調整が影響。 |
ただし、これらの「なぜ」に関しては明確な因果証明は難しく、あくまで市場心理やパターン認識に基づく分析にとどまります
それでも強い!9月に比較的安定したセクター
長期データから見て、「不況時にも比較的強い」セクターが存在します。次のようなセクターは、季節変動の中でも比較的安定した動きをする傾向があります:
- Communication Services
- Utilities
- Healthcare
これらの業種は、サービス需要や生活必需性の側面から、9月ごろの相場の下振れ時でも平均で0.1%~0.2%のプラスを確保した実績があります。
ヘルスケアETFを参考に引っ張り出してきましたが、どうですかね。ちょっとわかりにくいですね。
↓こっちS&P500
セクター戦略の勘どころ
- 季節アノマリーは参考程度に
9月が「最悪の月」であるのは事実ですが、必ずしも毎年そうなるわけではありません。過去数年は例外も多く、中央値がプラスだったケースもあるため、判断材料はあくまで補助的とすべきです。 - 守備的セクターに注目
Communication Services、Utilities、Healthcareなどのディフェンシブ性の高いセクターは、下落局面でも相対的に強さを示してきました。アノマリーへの対応策として、一定割合で保有しておくのが有効です。 - セクターローテーションを意識的に活用
金融・景気循環系セクター(例:Consumer Discretionary、Industrials)は利下げや景気拡大局面で強い傾向にあります。9月は比重を落とし、必要に応じてリバランスしましょう。
トリプルウィッチングとの関係
9月の第3金曜日に発生する「トリプルウィッチング」(株式オプション、株価指数オプション、先物の同時満期)は、取引量とボラティリティが高まる傾向にあります。これにより、「弱気相場時の9月+トリプルウィッチング」の組み合わせでは、市場がさらに揺れやすくなる懸念があります。
まとめ
- 確かな傾向として、9月は株価が弱くなる傾向がある(特に平均リターンは‐1%程度)。
- しかし、全てが影響を受けるわけではなく、「Communication Services」「Utilities」「Healthcare」など、守りの強いセクターは安定的に推移するケースが多い。
【米国株】8月のアノマリー
過去30年の統計データを見ると、8月のS&P 500指数は他の月と比較してリターンが低く、平均リターンはおおむね−0.7%前後にとどまることが多いとされています。特に1990年代以降、「Sell in May and go away(5月に売って夏は様子見)」という投資格言も意識される時期です。
【米国株】7月アノマリー
S&P 500は歴史的に7月に堅調なパフォーマンスを示しています。過去35年間で、S&P 500の平均価格のみのリターンは1.4%であり、これは年間で3番目に良い月とされています 。さらに、直近の傾向は特に顕著であり、S&P 500は過去9年間連続で7月に上昇して終了しており 、これは10年連続のプラスリターンに伸びる可能性も示唆されています 。過去10年間では、S&P 500は7月に平均3.4%のリターンを記録しており、これは11月に次いで2番目に良い月です 。