トランプ関税をめぐる判決が市場心理を揺さぶる
レイバー・デー明けとなった9月最初の米国株市場は、投資家にとって厳しいスタートとなりました。背景にあるのは、連邦控訴裁判所がトランプ大統領による関税措置の大部分を違法と判断したというニュースです。この判決が金曜日の取引終了後に伝わり、週明け早々から市場心理を冷やしました。
ヒートマップをみると下落が目立ちます。比較的ヘルステクノロジーや非耐久消費財などのセクターが継承に見えます。
投資家はリスクを避ける動きから債券を売却し、米10年国債利回りは6ベーシスポイント上昇して4.28%前後に達しました。利回り上昇は株式市場、とりわけハイテク株への逆風となり、米国株は寄り付きから下落基調となりました。
ナスダック、半導体株の下げで0.8%安
この日の米国株市場で特に目立ったのは、半導体や人工知能関連銘柄の弱さです。ナスダック総合指数は取引序盤に2%近く下げましたが、その後は重要なテクニカル指標である50日移動平均線(水色)をサポートに反発し、最終的には0.8%安で引けました。取引高は前日より増加し、下げの勢いが強かったことを示しています。
銘柄別では、半導体設計会社アーム・ホールディングス(ARM)が4.3%安と、ナスダック100構成銘柄の中で最も弱い動きを見せました。また、人工知能ブームを牽引してきたエヌビディア(NVDA)も2%下落しましたが、こちらも50日移動平均線を試す場面で売りが和らぎ、下げ幅を縮小しました。
エヌビディアは少しチャートが崩れ始めましたかね。長期的にはそんなに気にしないレベルですが短期的には注視した方がよいかもしれませんね。
ナスダック市場全体では、値下がり銘柄が値上がり銘柄を約2対1で上回るなど、投資家心理の弱さが鮮明となりました。
グーグル株は裁判所の判断で急騰
一方で明るいニュースもありました。取引終了後、アルファベット(GOOGL)の株価が約8%急騰しました。これは、連邦裁判所が「グーグルがChromeブラウザを売却せずに保有し続けることを認める」との判決を下したためです。約1年前に同裁判所は「グーグルが検索市場で独占的地位を維持している」と認定していましたが、今回は事業継続を許可する判断となり、投資家の安心感につながりました。
金価格の上昇と資源株の買い
さらに、この日は金価格が2%上昇し、1オンス=3,600ドル手前まで上昇しました。インフレ懸念やドル安観測を背景に、安全資産としての金に資金が流入した格好です。これを受けて金鉱株にも買いが広がり、アラモス・ゴールド(AGI)はカップベースからのブレイクアウトを果たし、31ドル超まで急騰しました。
資源株や貴金属関連は、米国株全体が下落する中でも逆行高となり、ポートフォリオの分散効果を示した一例といえます。
レイバー・デー後の相場見通し
レイバー・デー明けの9月は、例年ボラティリティが高まる時期として知られています。今年はさらにトランプ関税をめぐる司法判断が加わり、不透明感が増しています。控訴裁判所の判決が最終的に確定すれば、米国の通商政策は大きな転換点を迎える可能性があり、輸出入企業の株価変動が激しくなるでしょう。
同時に、FRBの利下げ観測やインフレデータ、雇用統計など、マクロ経済指標が相場を左右する材料も豊富に控えています。投資家にとっては、トランプ関税の行方とあわせて、FRBの政策動向に敏感に反応する相場展開となりそうです。
まとめ
- トランプ大統領の関税措置に対する「違法判決」が市場心理を冷やした
- ナスダックは半導体株の下落で0.8%安、ARMやエヌビディアが下落
- グーグルはChrome継続判断で8%急騰、金関連株も堅調
- レイバー・デー後の米国株は例年以上に不安定な展開が予想される
米国株はレイバー・デーを境に不安定なスタートを切りました。トランプ関税の行方、インフレデータ、FRBの利下げ観測など、投資家にとって重要な判断材料が続々と控えており、9月相場は「波乱含み」となるかもしれませんね。