【2025年8月:米国株アノマリーと市場動向まとめ】
8月は米国株市場において「夏枯れ相場」として知られる季節。歴史的にボラティリティが高まりやすく、投資家にとって注意が必要な時期でもあります。本記事では過去のデータや事例を交えつつ、2025年8月の米国株市場の特徴やアノマリー(季節性傾向)を詳しく解説します。
【8月の米国株市場アノマリー】
過去30年の統計データを見ると、8月のS&P 500指数は他の月と比較してリターンが低く、平均リターンはおおむね−0.7%前後にとどまることが多いとされています。特に1990年代以降、「Sell in May and go away(5月に売って夏は様子見)」という投資格言も意識される時期です。
過去10年間(2015〜2024年)S&P 500 8月平均リターン
- プラスの年:5回
- マイナスの年:5回
- 平均リターン:−0.7%
※出典:Bloomberg Historical Data 2025年7月版
【2. なぜ8月は不安定になりやすいのか】
(1) 薄商いと市場参加者の減少
米国では夏季休暇シーズンが本格化し、ウォール街の主要トレーダーや機関投資家の多くが市場を離れます。その結果、出来高が減少し、小さなニュースでも株価が大きく動きやすくなります。
(2) 金融政策・経済イベントの影響
8月下旬には米ワイオミング州ジャクソンホールでのFRB年次シンポジウムが開催され、金融政策の方向性について重要な発言が出ることが多いです。また、企業の中間決算やマクロ経済指標(雇用統計やCPIなど)も重なり、ボラティリティが高まります。
(3) 地政学リスクと政策リスク
2025年は特にトランプ前大統領による追加関税発表が7月にあったばかりであり、関税対象国や品目の詳細が8月に再発表される可能性も指摘されています。貿易摩擦リスクは引き続き株式市場にとって懸念材料です。
【3. セクター別傾向】
(1) ディフェンシブセクター優位
過去10年間(2015〜2024年)のデータでは・・・
- 公共事業(Utilities):10年中7回プラス、平均リターン+0.6%
- ヘルスケア(Healthcare):10年中6回プラス、平均リターン+0.4%
- 生活必需品(Consumer Staples):10年中6回プラス、平均リターン+0.3%
8月はリスク回避姿勢が強まる傾向から、ディフェンシブセクターが比較的底堅い動きを見せる傾向あり。
(2) テクノロジー・小型株は不安定
AIや半導体関連銘柄は引き続き注目されていますが、8月特有の薄商い環境では乱高下しやすくなります。特にラッセル2000(小型株指数)は過去5年間でも8月に大きく下落する年が目立ちました。
【4. 歴史的イベントと8月相場】
(1) 2011年8月 米国信用格下げショック
米国債がAAAからAA+へと格下げされた影響で、S&P 500は8月8日に1日で−6.7%の急落を記録しました。
(2) 1998年8月 ロシア危機
ロシア債務危機を発端とした世界金融不安が広がり、特に金融セクターを中心に株価が急落しました。
(3) 2015年8月 チャイナショック
中国人民元切り下げが引き金となり、世界同時株安が発生。米国株市場も大きく下落しました。
【5. 2025年8月の展望と注意点】
注目材料
- FRBジャクソンホール会議 → 8月21~23日
- トランプ関税追加措置の具体化
- 主要経済指標(CPI 9/11・雇用統計 9/5)
【まとめ】
- 8月の米国株は歴史的に調整局面が多いが、完全な下落局面ではなく、その後の上昇相場への準備期間とも言えます。仕込み時でしょうかね・・・
- 特に2025年はトランプ政策や金融政策動向など不確定要素が多く、例年以上に慎重な姿勢が求められます。