2025年7月現在、米国市場ではドナルド・トランプ大統領の新たな関税措置と、NVIDIAをはじめとしたAI半導体関連企業の動きが市場の注目を集めています。

トランプ大統領、8月から30%追加関税を発表
2025年7月第2週末、トランプ大統領は突如、EUとメキシコに対し、2025年8月1日から30%の追加関税を課すと発表しました。これは、今年4月2日に発動が90日間停止されていた「相互」関税の復活とも言える内容で、マーケットに大きなインパクトを与えました。
ポイントは以下の通りです:
- EU、メキシコ対象:8月1日より30%関税適用
- ブラジル:50%という異例の高率関税(政治的背景あり)
- カナダ:35%関税。ただしUSMCA対象品目は例外
特に注目すべきは、USMCA(米・メキシコ・カナダ協定)の対象となるメキシコ製品が課税対象に含まれるか不明な点です。仮にメキシコ製品が対象となれば、自動車部品や電子機器など幅広い業界に影響を及ぼします。
NVIDIA、中国向けAIチップ販売再開へ
トランプ政権は4月以降、中国向け先端半導体の輸出規制を強化してきました。しかし、ここにきてNVIDIAは新たな動きを見せています。
2025年7月中旬、NVIDIAは米国政府から正式なライセンス供与を受け、中国顧客向けにH20 GPUの販売再開を発表しました。H20 GPUは元々、米政府の規制基準を満たす形で設計された製品です。
注目ポイント:
- NVIDIA株、発表直後から上昇
- AMDや台湾セミコンダクター(TSMC)も連れ高
- H20販売再開の背景に、ジェンスン・フアンCEOとトランプ大統領の直接会談
実はNVIDIAのフアンCEOは、先週トランプ大統領と会談し、その翌週には中国政府とも面談しています。このタイミングでの販売再開発表は、単なるビジネス判断以上の政治的意味合いが強いと考えられます。
関税政策とAI半導体の関係
関税強化と半導体販売再開。一見矛盾する動きにも見えますが、マーケティング視点では以下のようなシナリオが読み取れます:
- トランプ政権は保護主義姿勢を強めつつも、AI関連分野では米国優位を保つため柔軟な対応を取っている。
- 関税によるコスト上昇分を、NVIDIAや他米国企業の製品優位性で補う狙い。
- 政治的交渉材料として、AI半導体販売を取引カードに活用している可能性。
今後のスケジュール
- 7月下旬〜8月初旬:具体的関税対象品目発表予定
- 8月21日〜23日:FRBジャクソンホール会議
- 9月初旬:8月分雇用統計・CPI発表
【まとめ】
今回の関税強化とNVIDIA販売再開は、単なる政策発表や企業ニュースにとどまらず、米国経済・世界経済に大きな波紋を呼ぶ動きと言えます。投資家はもちろん、ビジネスパーソンやマーケターにとっても注目のテーマであり、今後数週間は関連ニュースに敏感であるべきですかね。