ブラック企業に勤めていると、拘束時間も賃金(給料)の支払いもその経営者次第のような空気が漂っています。
給料を支払ってくれない。
なぜか損害賠償を請求するとか言い出されている。
めちゃめちゃパワハラされているなど。。
もしかしてあなたもそんな悩みを抱えているのではないでしょうか?
私も過去に給料未払いが発生し、いろいろ悩んだ挙句訴えたことがあります。
そんな体験について流れを記事にしていきます。
これを読み切りますと、訴訟の流れがみえてきます。
【実際に裁判しました】給料未払いのブラック企業を訴える
給料を全額回収できるかは置いておいて、訴える方法はざっと3パターンあります。
①労働基準監督署に訴える
②弁護士や法律家に依頼する/法テラスを利用する
③回収したい金額が少額であれば自ら訴訟する
実質、給料を回収するならば②または③が現実的かと思います。
次にブラック企業に採用され訴えるまでに至った経緯をご説明します。
どうやってブラック企業に採用されたのか
私が採用されたのはハローワークに紹介していただいた新規立ち上げの飲食店でした。
雇用形態としてはアルバイトだったのですが、実際に面接へ行くとハローワークより良い条件を提示されました。
ハローワークでは時給1,000円であったのに対して、実際は1,000円+出来高・・のように口頭で説明を受けました。
その当時はラッキーと思いながらも、その場で採用を言い渡されました。
ちなみに労働契約書なんてものはありません。口約束です。
給料未払いの証拠として
まだ立ち上げ間もなくの段階でしたので、整理整頓がしばらくメインでした。
タイムカードが無いので自ら仕事用のメモとして持っていた手帳にしばらくの間、就業日時と経営者のサインをしていくということで一致しました。
※このタイムカードが無いっていうのは正直労働者からするとリスクです。
この手帳にサインというのが結果として給料未払いの証拠として認められています。
ブラック企業経営者のパワハラ
私はブラック企業経営者の指導を受けならが勉強していくわけですが、強烈なパワハラ・いじめ気質のある方で、毎日、シフトを入れていたことから滅入っていきました。
パワハラの詳細ですが、
怒鳴る、明日から来なくていいぞ!は当たり前ですが・・・
洗い物が経営者の想定より遅いといきなり基準時間は〇〇分だから、遅れている。
その分は給料は発生しない。
とか、逆にその宣言された時間内にこなすと、洗い物が汚れているなどクレームをつけ始め、洗い直しをさせられます。
なんていうんでしょうか、川沿いで石を積み上げていくと鬼がやってきて崩していくなんかの場面をご想像いただければと・・・笑
もちろん、洗い直しにかかった時間は給料から引いておくとか言い出す始末。
ブラック企業の王道戦法でしょうかね。
あまりにもきつかったので、何日の何時にどんなことを言われたのかMEMOだけ残すようにしました。
ブラック企業に辞めたいと伝えたら
パワハラの影響があり、我慢も限界。もちろん私の根性もないのですが・・・このブラック企業のオーナーに辞めたいと伝えました。
意外にもあっさり”OK”とのこと。
思わず「すみません、ありがとうございます」とか不覚にも言ってしまったのを記憶してます。
で、新規立ち上げの飲食店ということもあり、給料の支払い方法は手渡しという設定でした。給料はどうしたらいいですか?と聞くと・・・
1か月で辞められ、迷惑がかかっているから支払う必要はないだろう。逆に迷惑料を支払え!損害賠償と相殺だ!!
このコメントと追加で人格否定のコンボを言われました・・・。
この労働力をただで使ってやろうという腐った性根と言い方が人生で一番腹立たしかったです。
その日は何も言えず、頭の中がグルグルしながら引き下がったのを今でも覚えています。
給料未払いに対する少額訴訟を決意
今や社会人となった自分が振り返ってみると、アルバイトの1か月分の給料なんてフルタイムでもないので大したことありません。
ただ、当時の私からするとパワハラされても頑張って頑張って、稼いだお金でしたので。
なんかあきらめきれないというか、納得いかなかったのでしょう。
勇気をふりしぼってその飲食店に電話で確認します。
結果は当たり前ですが
”君もしつこいね。支払わないって言ったでしょ。迷惑料とるよ?裁判するよ?わかったらもう電話してくんなよ”
と強烈な返しをもらいました。
この電話の後・・・戦ってやる!!と決意しました。
給料未払いに対する少額訴訟ですね。
実はその時期、私は法律家を目指して猛勉強中であったことから、この法律ってどこまで通用するのか。
知識だけで本当にこの外道と戦えるのか。
法律の切れ味を試してみたかった思いもあります。
労働基準監督署に相談する
いろいろ判例やネットで情報をあさっていると、まずは労基(労働基準監督署)に相談しましょ。というのが良いらしいです。
まずは実際に労基へ相談しにいくと、いろいろ細かく聞いてくれます。
私はハローワークの求人データを持って、給料をどうしたら支払わせることができるのか。
ここを中心に確認しました。
労基の助言は”自らその飲食店に足を運び取りに行ってください”とのことでした。
取りに行って支払ってくれるなら、こんなところに来ませんよ。
と伝えても、労基が代わりに受け取ることはできないような言い方をされ、それでもダメだったらもう一度来てください、とのことでした。
調べてみると給料債権については取り立て債務が原則となるようで、労働者が自らブラック企業に足を運ばなければならないのです・・。
そして労基には現状ほとんど強制力はないと言われ目の前が真っ暗になりました。
正直、労基って役にたたねーなと思いました。こんなんじゃ救える人も救えないでしょう(; ・`д・´)
ちなみに労基に匿名で密告した時の体験談はこちら。つかえね~
ブラック企業に内容証明を送ってみる
これも始めての事。取りに行くだけ無駄と思ったので、良く聞く内容証明(いつ・だれが・どんな内容を・誰に差し出したのかを郵便局が第三者となって証明してくれる)をブラック企業に送ってみようと思いました。
文面の内容としては、未払いにしている給料を口座に何日までに振り込んでください。
振り込まなければ法的措置をとりますよ!という一般的な内容です。
そして縦書きだと何文字、横書きだと何文字という規定に従って書き上げます。
これで少しでもびびってくれて、支払ってくれれば・・・なんて思いました。
まぁ想定内ですが後日、内容証明を受け取ってもらえなかったということで、内容証明が戻ってきます。
この内容証明ですが、不在の場合局員が不在通知表みたいな感じでポストへ入れてくれますが、さすがに経営者、完全に無視だったようです。
何度かアタックしてみてくれたらしいですが、夕方からオープンする飲食店だった為、時間があわずに店員にも会わなかったとのこと。(居留守でしょうけど)
内容証明作戦は失敗に終わります。
給料未払いを訴える為、弁護士に相談する
実際に飲食店に行ったわけでは無いのですが、行っても支払ってくれない可能性は高くて。
知人に相談したところ、弁護士に相談してみる?ということで紹介してくれました。
私も生まれて初めて弁護士とお話ししました。
おそらく給料未払いなんていう案件はめずらしくないようで、弁護士は私の相談に対しても的確に要点をおさえてくれました。
知人より私が法律家を目指しているということも伝わっており、こんなことを言われます。
”法律家目指しているんですよね?はっきり言って勝ち戦です。自分で訴訟してみてはどうでしょうか?もし何もできないのであれば法律家を目指すのは止めた方がいいです。もし、困ったら私が力を貸します。”
弁護士に頼むと、給料を回収できても報酬で消えるようで、そこまで弁護士に頼むメリットが無いような感じで言われました。
これも経験か・・と思い、実際に挑戦してみることとしました。
※後々、お礼の連絡をしたところ、いろいろ準備していてくれたようで、私が弱音を吐いたところですぐに対応しようと思ってくれてたそうです。
弁護士に依頼する場合
流れとしては、まずは弁護士に相談(事務所に電話やメール)します。
(無料相談が無い場所では30分単位で料金が発生することが多いようにみえます)
その相談の中で何がしたいか。給料未払いであれば、”回収してほしい”とか”執行力のある公正証書を作成してほしい”とか目的を決定します。
次にその内容に対してどれくらいの報酬が必要か説明されます。
説明に合意したら契約書を書いてGOですね。
こちらは弁護士さんの中でも民事を得意にしているとか、刑事事件を主に扱うとか得手不得手があるそうですよ。なので事前に調査しておくか、事務所に確認してみると良いです。
法テラスに連絡してみる
法テラス・・・よく聞くかもしれませんが、こちらも相談にのってくれます。
ただこちらの期間はいわゆる”総合案内所”になりますので、最終的には弁護士や司法書士など法律家との橋渡しをしてくれるに留まります。
リンクは→法テラス(かんたん解説)
しかし、法的観点からいろいろアドバイスをいただけるのは心強いかもしれません。
給料未払いの少額訴訟で訴えた
今回の回収したい金額は60万円以下の金銭支払いを求めるケースですのでブラック企業とは少額訴訟で戦うことができます。こちらの訴訟は原則1日で判決をいただけます。
※ただし、少額訴訟から通常訴訟に移行する場合もありますので注意です。
わからなかったら法律家へ。
この判決で勝つことができれば、判決書を根拠に強制執行が可能となります。
要は差し押さえとかそういうやつですね。
というものの、素人の私には強制執行をどうのこうの扱えるかは置いておいて、この時点では勝ち負けをはっきりさせたいという気持ちの方が強かったです。
裁判所に向かい、少額訴訟を起こしたい旨伝えると、訴状の書き方などいろいろ教えてくれますし、訴訟法に詳しくない自分でも書けるレベルでした。
訴状を書くと同時に証拠資料を提出します。
1日で決着がつくからには、出し惜しみせず1発で決めれるような証拠を揃えていく必要があります。
証拠になるかどうか、良くわかりませんでしたが私は次の証拠を揃えました。
リンク→少額訴訟詳細
少額訴訟で給料未払いの証拠として準備したもの
少額訴訟でできるだけ、心証を有利にしたいことから、給料未払いの証拠として次のものを準備しました。
①ハローワークの求人票(時給を証明するため)※契約書がない
②タイムカードの代わりとなった経営者のサインがある手帳(働いた日数と時間を証明するため)
③労働基準監督署で言われたこと・担当者のMEMO(心証良くするため)
④弁護士に相談した内容MEMO(心証良くするため)
⑤内容証明(不在)(私はアクションしているんだよアピール)
⑥パワハラ疑惑のMEMO(この給料未払いは悪意があるんだよアピール)
⑦友人に相談した内容と署名(友人にも相談してたんだアピール)
正直、これらを準備していて思いましたが、ボイスレコーダーあれば一発で証明できるよなと思いました。
これから戦おうと思っている方、証拠は本当に大事。
本当に強力かつ簡単な気がしますので、頭の片隅に入れておいてみては。
少額訴訟の流れ
そんなに詳しくないので詳細まで書けませんが、大きい流れでは
こちらの訴状と証拠書類を提出すると、その内容が相手(今回で言う経営者)に届きます。
今度は経営者サイドから反論という形で私に答弁とその証拠が届きます。
答弁書の内容に”この訴えは詐欺です。タイムカードは偽造です”みたいなこと書いてありました(笑)。
とことん腐ってると思いました。
その答弁書をもらって、追加で証明するものや証人を準備することができます。
私はこの弁護士を紹介してもらった友人にお願いしたところ、快くOKいただけたので、証人として依頼しました。
で、戦う日にちが決定され、当日、裁判所に向かうこととなります。
審理
当日、裁判所に向かい受付で本日の説明をすると、部屋の前でお待ちくださいと案内してくれます。
その後、よくTVなんかでみかける部屋は正面に裁判官、両サイドに私と被告が並ぶあれです。
審理が始まると裁判官が訴状やら証拠やらを読み始めます。
その後、この内容で問題ないか?という問いかけだけが来ます。
被告はところどころ反論を入れてくるのですが、その度に裁判官に発言は控えてください。今はそのタイミングではありません。と注意を受けていました。
裁判の場ではあまり自由は発言は認められないのです。多分、全部聞いてたら仕事が終わらないのでしょうね・・・。
私は証拠に力を注いでいたので、あまりいうことはなかったです。
が、被告(経営者)は言いたいことが言えないので、これは”詐欺だ!嘘だ!偽証罪だ!”など論点のずれたことばかり言い出す始末。
混乱はしつつも、訴状、答弁書など一通り確認し終わりました。
そしてそして証人として来てくれていた友人が傍聴席から手を挙げてくれました。
裁判官は”え?誰?”みたいな感じだったので、私の方で”本日呼ばせていただきました証人です”と添えたら、裁判官が発言を許可してくれ友人が”原告が本当に困っていました—–”などと追い打ちをかける発言をしてくれました。
ブラック企業と戦った結果・・判決は
結果として私の言い分が全面的に認められました。
被告の言い分は論点がずれており、詐欺罪、偽証罪などこれらを主張したいのであれば別で訴訟してはどうかとのコメントのみ。
この少額訴訟では給料の取り立て債務を、持参債務でいいのではないかと判断してくれました。
なんか、本当にこの結果がでるまで苦しかったですが、戦って良かったと思えた瞬間でした。
証拠としてそろえた次の中で効果のあったものを示します。
①ハローワークの求人票(時給を証明するため)
→労働契約書がないので・・・時給はこれねと判断してくれた。
②タイムカードの代わりとなった経営者のサインがある手帳(働いた日数と時間を証明するため)
→全面的に認めてくれた。また偽証だ偽造だ!と被告が騒いでいることに関しても被告のサインと答弁書などの筆跡から同じ筆跡であるように見えることから原告の証言が正しいと判断できるとしてくれた。(筆跡鑑定があったならもっとよかったのかもしれない)
③労働基準監督署で言われたこと・担当者のMEMO(心証良くするため)
→通常、労基までいくということは本当に困っていたことと察するとしてくれた。
④弁護士に相談した内容MEMO(心証良くするため)
→③同様
⑤内容証明(不在)(私はアクションしているんだよアピール)
→結局、被告不在で届いていないのであればこれは証拠にならないとはねられた。
⑥パワハラ疑惑のMEMO(この給料未払いは悪意があるんだよアピール)
→今回の件とは無関係とは言わないが別問題とはねられた。しかし、商売をしており労働者を雇っている以上給料はしっかりと支払いなさい というコメントをしてくれた。
⑦友人に相談した内容と署名(友人にも相談してたんだアピール)
→証人までかけつけたうえ、証言までしたことから、心証としては③同様困っていたことを裏付けることができるとしてくれた。
まとめ
さすがに判決がタイミングでは刑事事件で訴えます!なんて言われてましたが、結局飲食店の他の従業員から連絡があり、給料を届けてくれました。
その後、特に訴えられることもなく何事もなかったかのように月日が流れていきました。
一つ学習したのがハローワークで紹介を受けてもブラック企業にあたる確率は高いです。
今回はたまたま少額訴訟に勝った成功事例ですが、もっと泥沼になる可能性もありました。
訴えるのであればやはり法律家に依頼するのが精神的、時間のロス、回収できる可能性どれをとっても最善の選択かもしれません。
私の経験からは言わせてもらえば悩むくらいならさっさと退職代行に依頼して、退職及び給料回収をします。
いまはこんな便利な時代です。
少しでもブラック企業に悩まされている方のご参考になれば幸いです。
ブラック企業を辞めるための失敗しない理由の考え方はこちら
ブラック企業のことを事前にもっと知っておきたい方はこちらの記事も確認してみてください。
ちなみに給料未払いに対する請求権は2年(退職金5年)で消滅してしまうので、給料支払い日は良く確認してください。